RESEARCH

APPROACH

宇宙共生研究センターでは、エネルギー・物質・環境に関わる基礎科学から、
宇宙環境を活用した実験研究まで、多様なアプローチで研究を進めています。
以下に代表的な研究テーマを紹介します。

01

非平衡の世界を見る

非平衡の世界を見る

地球や宇宙では、物質は溶け、分離し、結晶化しながらその姿を変え続けています。私たちは、高温で融けた物質(高温融体)における非平衡現象に注目し、物質がどのように進化し、新しい機能や構造を生み出すのかを研究しています。Containerless(無容器)浮遊法による非接触計測やその場観察を用いて、高温融体の物性、相分離、核形成、結晶成長といった基礎過程を明らかにします。また、過冷却状態や準安定状態を積極的に利用することで、新しい機能材料やエネルギー材料の創製にも取り組んでいます。
これらの研究は、地球内部で起こる物質循環の理解だけでなく、宇宙環境を含む極限環境における物質科学の理解にもつながります。 私たちは、高温融体における非平衡現象を普遍的な科学として捉え、その理解を通して、地球と宇宙における物質の振る舞いを明らかにすることを目指しています。

02

エネルギーを測る

エネルギーを測る

物質が融解・凝固するときには、大きな熱エネルギーが出入りします。この熱を利用してエネルギーを貯蔵する「潜熱型熱エネルギー貯蔵材料」は、再生可能エネルギーの安定利用に向けて世界的に注目されています。私たちは、浮遊法を利用し、高温で融けた物質の融解熱を高精度に測定する技術を開発しました。容器との接触をなくすことで、化学反応や不純物の影響を抑え、物質が本来持つエネルギー量を正確に評価することができます。この技術を用いて、鉄や合金などの高温蓄熱材料のエネルギー密度を明らかにするとともに、将来のエネルギーシステムに貢献する新しい熱エネルギー貯蔵材料の設計指針を探っています。

03

宇宙の環境を使って調べる

宇宙の微小重力環境を利用すると、地上では対流や容器との接触によって影響を受けやすい高温融体の物性を、より純粋な状態で調べることができます。私たちはJAXAの協力のもと、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載された静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace, ELF)を利用し、高温で融けた物質の物性や相分離、結晶化過程を明らかにする研究を進めています。これにより、地上実験では到達が難しい非平衡状態にある物質の振る舞いを理解することを目指しています。

宇宙の環境を使って調べる

共同研究機関:千葉工業大学、東京都市大学、富山県立大学、芝浦工業大学、JAXA

04

レーザー加熱による月で金属・酸素をつくりだす

レーザー加熱による月で金属・酸素をつくりだす

月の表面を覆っている砂(月レゴリス)から金属や酸素を得る有力な手法の一つが、レーザー照射によって非平衡状態を生成し、金属酸化物を直接還元・分解するレーザー還元プロセスです。この手法では、集光したレーザーによって局所的に極めて高温・高エネルギー密度の場を形成し、熱平衡では進行しにくい反応を強制的に進行させることが可能となります。成功の鍵は、レーザーのエネルギー密度や照射時間、さらには照射雰囲気を含めた反応場の設計にあります。私たちはレゴリス中に含まれる金属酸化物に対してレーザーを照射し、溶融・蒸発・プラズマ化を伴う非平衡過程を利用して金属と酸素へと分離する反応に注目し、その反応機構の解明と制御を目指しています。レーザー照射実験に加えて、発光分光によるその場診断を行い、電子温度や電子密度といったプラズマ特性を定量的に評価することで、反応場の最適化指針を導出します。これにより、月面において外部試薬を必要としないシンプルかつ高速な資源生成プロセスの確立を目指しています。

05
月の資源を人々が利用できるカタチへ

月の資源を人々が利用できるカタチへ

月の表面を覆っている砂(月レゴリス)から金属や酸素を得る有力な手法が、溶かした原料を電気分解する高温電解プロセスです。成功の鍵は電解を実施する「浴」の温度と組成の設計にあります。私たちはレゴリスとハロゲン化物塩を混ぜた浴を対象に、融点や粘性・電気伝導性などの基礎的な性質に注目して、持続的かつ安定的な資源採取を可能とする高温電解プロセスについて研究しています。地上での電気分解試験に加えて、精確な物性値を測定するための国際宇宙ステーションに搭載された静電浮遊炉を用いた宇宙実験も行い、月面でのその場資源利用を実現する実用的な電解システムの設計指針としてまとめます。

宇宙実験について

Thermal storage 宇宙実験では、「きぼう」の静電浮遊炉を用いて二相分離系金属の熱物性を測定しました。今後は、得られた熱物性を使って二相分離系金属の凝固過程のシミュレーションを行い、将来的には蓄熱材料の組織設計や開発に応用します。

https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/pickout/73675.html
PI:小畠秀和 (同志社大学)

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